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「平+和を考える」

 アメリカとソ連の冷戦後も世界各地では内戦やテロが絶えず、難民の問題やグローバル化が進み、世界的規模で経済格差が進行し、貧困に喘ぐ人々が世界に溢れている。そして今もなお終結することのない核開発が行われており、このプロジェクトに参加した子供達が住むメキシコに隣接する米国には現在も6000発以上の核弾頭が配備され続けているのだ。武器を持つことによって安全に暮らすことができるのだろうか? 武器を持つことによって幸せになれるのだろうか? 子供達は何も知らずこの世に夢を持って生まれてくるのだが、その夢を叶うために武器は本当に必用なのか? メキシコでは「平和」について話し合う時には必ずと言っていいほど、麻薬組織の話題がのぼる。毎年多くの人達がその犠牲になり、ドラックの売買や誘拐は身近な問題として抱えているのである。小さなプロジェクトではあるが、彼らの夢が叶うために少しでも役立つことが出来ればと思う。そして子供達には実際にインスタレーション作品の一部となった自分の折り鶴を見ることで、平和と美術について共に考える場になったのではないかと思う。

 ベラクルス州教育省の先生達とベラクルス州立大学芸術学部の学生達と共に小学校を中心に約70の学校を訪問し、「平和」をテーマに約5000人の子供達が折り鶴のワークショップに参加した。鶴を折るにあたり日本への原爆投下のことや、広島市への原子爆弾投下により被爆し、12歳で白血病にかかり亡くなったSADAKO(佐々木禎子)が、入院中のベッドで、病気の恢復を祈って鶴を折り続けたというエピソード、そして広島平和記念公園の原爆の子の像には全国から届けられた千羽鶴が供えられ続けていることなどを話した後に、白い紙に各自それぞれ夢または平和に関しての思いを描いてもらい、メッセージを書き添えて個性豊かな鶴を折って貰った。集められた5000羽もの折り鶴とボランティの方々が折った3000羽の折り鶴を合わせて約8000羽の鶴が願いを未来へと届けてくれるだろう。

平+和を考える

8000羽の折り鶴、聖母グアダルーペの肖像

ベラクルス州立大学付属ハラパ人類学博物館(ベラクルス、メキシコ)

​2017

8月6日

8月6日 の新聞で折った千羽鶴

ハラパ現代美術ギャラリー(ベラクルス、メキシコ)

​2017

8月6日

8月6日 の新聞で折った千羽鶴

Domínguez y Buis Galería(ベラクルス、メシキコ)

​2017

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