唐辛子シリーズ
現在、唐辛子は当たり前のように世界で広く食されている。メキシコの地には紀元前5000年から6500年前の遺跡で既に栽培された跡が見られるほど古くから存在していたようだ。唐辛子のことを現地の言葉でチレと言う、このチレが大航海時代にコロンブスにより持ち出されてた種により世界中に広まることになり、そして世界各地の料理に大きな影響を与えることになった。例えばメキシコから一番遠い国の一つである韓国の料理には唐辛子が欠かせないのは疑う余地はないだろう。日本には1542年にポルトガル船が伝えたという説が有力のようだ。日本はご存知の通り島国である。日本の東側には太平洋が広がっていることを考えると、ここがメキシコの地から伝わった最も遠い国と言ってもいいだろう。日本の食材として定着をしているチレは主に細い長い形態の唐辛子だが、最近では日本でもメキシコ料理の普及により色々な種類のチレを手に入れることができるようになった。これらのチレはこれからメキシコ料理の食材としてだけではなく、日本の料理の一部に取り込まれていくことであろう。こうして食というのは常に進化してきたのである。おそらく唐辛子の原産地が現在のメキシコであることを知っている日本人は少ないと思う。また日本でチレが食されていることを知っているメキシコ人も少ないであろう。約500年前にスペイン人によりメキシコ原産の唐辛子がヨーロッパへ渡り、以降世界の香辛料として親しまれているが、最近メキシコでは中国から輸入され唐辛子が多く出回っている。しかも国産の唐辛子より安価なのである。約500年前にメキシコの地を出た種は、遥か遠い地で根をおろし、再び生まれ故郷に帰ってきたのだ。この一連の作品に使用されている唐辛子は全て中国産の唐辛子を使用している。
開かれた扉II 1492-2021
折り船529船、中国産の唐辛子、石、人形
La Calera(オアハカ、メキシコ)
2021
開かれた扉
折り船、中国産の唐辛子
福井大学アカデミーホール2F(福井)
2016
唐辛子の足跡
中国産の唐辛子、木、錘
Primera Bienal Universitaria de Arte Y Diseño UNAM(メキシコシティ、メキシコ)
2014
均衡する赤
中国産の唐辛子を使用
岡本太郎美術館(川崎)
2015
ここからここへ
中国産の唐辛子100kg
メキシコ国立自治大学ルイスニシザワギャラリーENAP(メキシコシティ、メキシコ)
2010
唐辛子のの波紋
中国産の唐辛子100kg
Festival de Mayo カルメン修道院跡(グアダラハラ、メキシコ)
2009
増殖する赤
中国産の唐辛子エキス、アマテ紙、鉛筆