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メキシコの床屋さんの記録 2005-2007-ベラクルス州、ハラパ市-

私の実家の隣には床屋さんがあった。幼少の頃は毎月通ったものである。その当時はけっこう賑わっていて長い時間待たされることもあった。お客さんのほとんどは男性で女性は美容室に通うのが普通だったので、男は理容室、女は美容室に行くのだと勝手に思っていたものだ。しかし時代は移り行くもので中学校に通い始めた頃から状況は少しずつ変わってくるのでる。今まで待たずに髪を切ることはなかったのに、待たずに切って貰える機会がだんだんと増えていった。一方それに比例するかのように町の中に美容室が増えていった。そして高校に入学し気がつくと私も美容室に通うようになっていたのだった。ちょうどその頃、実家の隣の床屋さんは店をたたんだ。

メキシコに来るまでそんなことは気にも止めなかった。いやメキシコに住み始めて13年になるが、住み始めた当時は床屋には全くと言っていいほど縁がなかった。と言うのも私の髪は肩より長くゴムで縛っていたのだった。これでは床屋に行っても仕方ないだろう。

この長い髪を切ろうと決心したのはハラパの町の中に美容室が目立つようになって来てからだった。そして注意して床屋さんを覘くようになっていった。床屋の独特な雰囲気が幼少の頃の記憶を少しずつ滲み出した。そしてメキシコの床屋もまた日本と同じような道を歩むのではという危惧を懐くようになっていった。

2005年1月26日、近所にある以前から気になっていた「Peluquería FAYO」(ファヨさんの床屋さん)という床屋さんで自分の長い髪を切り落とし坊主にして貰った。それから3年間欠かさず毎月一回ハラパ市内にある床屋さんに訪問しては坊主にしに行ったのである。その時に自分の髪を切って貰っている姿をビデオに記録し、自分の髪の毛も持って帰っている。それと店内とお客さんの髪を切っている床屋さんの姿を写真に納め、主人に簡単なインタビューをした。当時ほとんどの床屋の主人は50代を過ぎている。子供がいたとしてもあとを継いでいる店は少ない。これからメキシコの床屋はどう変わっていくのか?これからも見守って行こう。

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